サングラス越しの世界

色付きの世界を綴る日々の雑文集

【打ち上げ花火、下から見るか、下だけ見るか(1)】

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ジメジメとした梅雨が明け、青空に伸びる入道雲が夏の到来を告げる。目が醒めるような緑の陰で沢山の蝉たちが代わる代わる輪唱し、また時折降る夕立に梅雨前線の幻影を見たりする。あくびをする猫を探しに駐車場を散歩する毎日である。

 

 

長らく更新できていなかった(していなかったというべきか)が、カリスマブロガーを諦めたわけではない。その証拠に下書きの欄にはたくさんの草稿が溜まっているし、脳内ではいつだって妄想の大洪水が起きている。ただそのうちのいくつが文章として成立するかというのはまた別問題で、本当に単なる妄想に終わることがほとんどである。

 

無論、文章になったからといって妄想が何かに変身するかと言われればそれは純然たる妄想に他ならないのだけれど、まぁ、自分の中にもブログに書くものとそうでないものを振り分けるフィルターがある。

 

 

さて、今回は(おそらく)今までにあまりなかった視点で花火大会を眺めてみようと思う。あえて花火それ自体には目もくれず、地上の人々を観察しようというのである。無粋至れりのお話ではあるが。

 

打ち上げ花火を眺めていて、ふと、拍手とはどういう文化なのだろう、と考えた。おそらくそれは世界共通の言語であり、感動や賞賛を伝える言葉である。しかし花火を取り上げてみれば両の腕で表される感動の音楽は決して花火師に届くことはない。それでも聴衆は拍手をやめないし、それを誰も疑問に思わない。

拍手はきっと感動の雄叫びに似ている。人が感動したとき、わぁすごい!と叫ぶ代わりに拍手するのだ、君は素晴らしい!と言う代わりに両手を打つのである。

 

 

では、(話はかなり飛躍するが)例えば一度の打ち上げ花火でどれだけの拍手が起こるのだろう。(この問いが得体の知れない気持ち悪さを持っていることを私は知っている、しかしこのブログがそういう気持ち悪さで充満していることをあなただってもう気づいているはずだ)

一度の打ち上げ花火での拍手回数がわかれば原理的には花火大会を通しての"累計拍手回数"だって計算できるはずだ。

 

 

では、情趣の反対を突き進むフェルミ推定を始めよう。タイトルは

"打ち上げ花火、下から見るか、下だけ見るか"

といったところだろうか。

 

ただし、今回は少し統計学の知識を前提とする。しかしそういう瑣末な問題は時として結論に至るまでのモチベーションを削いでしまうので、読み飛ばしたい方はアルファベットで示された条件だけを読んでいただければ良い。

 

【拍手の統計学

1、人はいつ拍手するか。

具体的な計算の戦略を立てる前に下準備をしておこう。拍手の回数を推定するためには人がどんな時にまたどのくらい拍手をするか、について整理する必要がある。

例えば花火が打ち上がり、破裂する前に拍手を始める人はほとんどいないだろう。(こんな人はむしろ何かを悟っているのかも知れないが)

ということで、拍手を始めるのは花火が破裂してからである。(これは多分、後々t=0みたいな条件になりそう)

では花火が破裂した瞬間に一斉にみんなが拍手し始めるかというと、そういうわけでもない。もちろんある程度の人は天高く開く大輪の花に感動し、拍手し始めるだろうが、ある程度の人は一旦あっけにとられて、遅れてくる爆音とともに拍手を始めるだろう。そしてまたある程度の人は花火が占領した一角をまた闇に返した後、(周りにつられて)やっと気がついて拍手を始める。

つまり、拍手のスタートには個人差がある。

では、拍手の強さや時間はどうだろう。ある人が拍手し始めてからし終わるまで常に同じつよさというわけではない。(と思いたい)

拍手始め!から拍手終わり!の間のどこかに拍手最大!があってそこへ至るまでの変化は連続的である。(と思いたい)

さらに拍手始め!と拍手終わり!が対照的だ。(と思いたい)

 

…ということで、我々は以降、

A、拍手の始まりには個人差がある。

B、ある人の拍手の強さは正規分布に従う。

ことを仮定する。(少々強引な仮定ではあるが)

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2、個人差の統計分布

では拍手始めの個人差はどのようになっているのだろう。先ほども述べたように花火に対してすぐに拍手を始めるせっかちな人(応答が早い人)もいれば、もう花火が消えてから(周りにつられて)拍手を始める人(応答が遅い人)もいる。

ここで注意したいのはそういう応答が早い人や応答が遅い人は全体に対して少数であるということだ。

また非常に人数が多いことから、応答時間に対する人数の分布(横軸に花火が破裂してからの時間、縦軸に時間ごとに拍手を始める人の人数)は連続関数になるとかんがえる。

こうすると、その関数はどこかで最大値(つまり拍手を始める人が1番多いタイミング)が存在することになり、この関数は凸性を持つことが示唆される。

拍手をしている時間がみんな同じだとすると、この"拍手を始める時刻"というのは個人の"拍手が最大になる時刻"を平行移動したものに過ぎないから、結局、

 

C、ある人が拍手している時間は一定。(仮定)

D、拍手を最大にする人が1番多いタイミングが存在する。

 

ことがわかる。

ここまでで、拍手の統計分布に対する条件が定まったのであとはこれをうまいこと関数にすればいい。

 

 

…ふぅ、少し疲れて来たので今回はここまでにしよう。近いうちに2回目をあげるつもりだし、2、3回で完結させるつもりである。

次回は、

・拍手の強さの分布関数が知ってる関数でかけそうなこと。

・拍手の強さが放射性物質に似ていること。

についてお話しする。

 

 

盛夏の候、熱中症には気をつけて。