サングラス越しの世界

色付きの世界を綴る日々の雑文集

【うどんを数学する(3)マシュマロとゴムの間】

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三寒四温、芯まで冷える日があると思えば、まるで地球全体がぬるま湯に浸かったかのような暖かな日もある。脇を吹き抜ける風はどこか知らない街へ春を運んでいるのだろうか。

 

私が更新を怠っている間、私やその周りの世界にはいろいろなことがあった。それはまた、改めて書きたいと思う。

 

さて、第3部まできた。予定では現在三分の一くらいが終わっていて、実はすでに最終部まで書き上げている。現在は検算の段階である。

今回は、うどんのコシ、に対する考察である。(変分原理のあたり以外は)さほど難しくはないはずなので、余裕のある方は数式まで読んでみて、おいお前、間違ってるぞ!と指摘していただきたい。

それでは…

 

【うどん数理解析】

 

6、うどん体積とうどん密度

うどんのコシを評価する前に、うどんの基礎的な数をいくつか導入しておく。まずは体積…

 

V≡V(t)=a*b*x

          =a*ρa*x

          =ρxa(t)^2

 

となる。最後の一行は体積が時間依存することを示している。ここで、要請④より、xは時間依存しない定数であるから、体積は結局、a(t)のみを独立変数としてとる。

次に、これを用いてうどん密度を定義する。

 

d≡d(t)=m/V(t)

 

ここでmはうどん質量である。今の議論に関してオカシイなと思われる方もいるかもしれない。どうして体積は大きくなるのに質量は一定なのだと。

今回はうどんそれ自体にダシが染み込んで体積が大きくなるのか、そもそも分子間距離が大きくなって体積が大きくなるのかは定かではない。したがってこの仮定は間違っている可能性もあるし、あっている可能性もある。

しかしながら、相手にしているダシは理想化されているので都合の良いように解釈して良いことにしよう。瑣末なことに目をやるよりも大きな結果を望むべきである。(斯様な議論はある意味邪道であるが、これにイチイチ目くじらを立てていては私の書く記事などほとんど読むに値しないものになってしまう)

それでは、やっと、コシを考えることにしよう。

 

7、コシをどう考えるか?

コシをどう扱うか、これはこの先の解析の難易を決定する微妙な問題である。ここでは、"極限"の考え方を導入しよう。

この"極限"という概念、早くは高校生でも習うもので、噛み砕いて言えば、"無限"とか"限りなく近づく"という概念だと考えて貰えれば良い。(数学好きのキモチワルイ方々はεδなどのお話をされるかもしれないが、残念なことに私はさる才能ある方々とは異なるので平易に理解し得る範囲に議論を留める)

私はコシと密度を関連付けることにした。つまり、コシをαとすると

 

うどんがめちゃめちゃ硬い時

d(t)→∞  ⇒  α→∞

うどんがめちゃめちゃ柔らかい時

d(t)→0  ⇒  α→0

 

となるような極限を条件として導入しようというわけである。あとはこの条件を満たし、現象を説明するに足るような関数(写像)で結んでやれば良い。最も簡単な関数が良いので、

 

α≡α(t)=Bd(t)

 

としよう。ここでBは"コシ係数"とし、"ある密度のうどんがどれだけのコシを持つか"という度合いを示すと理解する。無論、このコシ係数は材質や料理過程に依存するが、時刻には依存しない定数である。

 

こうして、コシを数学的に定義することができた。あとは、αからd、dからV、Vからaと戻っていけばある時刻に人が感じるコシを計算することができる。(αをtだけの関数として定めることはできるが、実はこれは今回の問題を達成するときには不要な議論なので割愛する)

 

 

8、コシと美味しさ

最後に、コシと美味しさがどう関係するかを定めることにしよう。ここでは熱力学などで出てくる"変分原理"の考え方を用いることにしよう。といっても難解な計算を振りかざすのではなく、現象に即した数学を考えると結果的に変分原理で表すことができたというようなイメージである。(特に今回は多変数関数に対する偏微分係数について考える)

 

・ゴムみたいなうどんの時、もちろん美味しさは減少する。

・逆にマシュマロみたいなうどんの時、この時もまた美味しさは減少する。

 

したがって、うどんの美味しさはあるコシα(max)に対して最大値を取るはずであり、これは、

 

∂U/∂α|(α=α(max))  =  0

 

を意味する。(この辺りの議論は少し難しいので理解不可能だと思えば飛ばしていただいて構わない、ちなみに同じような手法を完全熱力学関数についての議論の中で見ることができる)

さて、斯様な条件を満たす関数はどんなだろうか?例えばさらに、"1番美味しいコシから少し柔らかくなる場合と少し硬くなる場合で美味しさの減少は等しい"と考えるならば、

この条件を満足する関数は二次関数が良いだろう。(あの、高校一年生で習う上に凸の関数である)

つまり、

 

U  ∝  -(α-α(max))^2

 

U(α)  =  -C(α-α(max))^2+Cα(max)^2

 

と書くことができる。ここでCは比例定数であり、+以降の項は条件を満たすための切片である。

 

 

ふぅ、こうしてコシを定式化することに成功した。次の敵はのどごしである。

そしてそのあと、コシとのどごしの関係を見ることにする。

 

長い道のりである。しかし、最も美しい景色が高山の頂や海底深くにしか存在しないのと同様に、何か面白い結果を得るには地道な計算が必要不可欠である。もうしばらくお付き合い頂きたい。

 

季節の変わり目、体調には気をつけて。